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皮下筋膜の動員は血管マトリックス複合体の形成を介して無細胞脂肪マトリックスの血管化と機能に寄与する

Materials today. Bio2025-01-27PubMed
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8

概要

マウスでの各種トレーシング法により、皮下筋膜がAAM移植片を取り囲むように移動し、筋膜内血管を供給して血管マトリックス複合体を形成し、移植片の血管化と生存に不可欠であることが示されました。筋膜の動員を制限または除去すると血管化が著しく損なわれ、後期に移植片崩壊が生じ、筋膜が再生的統合の能動的駆動因子であることが示唆されます。

主要発見

  • 皮下筋膜は無細胞脂肪マトリックス(AAM)移植片を包むように移動し、筋膜内血管を移植片へ供給する。
  • 移植片表面に血管マトリックス複合体(VMC)が形成され、血管化と並行して動的にリモデリングされる。
  • 筋膜の動員を制限または筋膜を除去すると、AAMの血管化が著減し再生が阻害され、後期に移植片崩壊を招く。

臨床的意義

移植部位で皮下筋膜を温存・活用することで、審美・再建手術における軟部組織足場(例:無細胞脂肪マトリックス)の血管化と長期体積維持が向上する可能性があります。筋膜の取り込み・結合を促す足場設計は移植片の生存性を高め得ます。

なぜ重要か

血管マトリックス複合体を形成する筋膜の動員という新たな機序を提示し、美容・再建領域で用いられる軟部組織用バイオマテリアルの設計や手術時の筋膜温存・活用戦略に直結する知見です。

限界

  • マウスモデルであり、人における筋膜動態や臨床転帰への外挿には検証が必要。
  • 他足場素材との比較や長期的な組織灌流の定量評価が十分ではない。

今後の方向性

大型動物・ヒト研究での筋膜—足場界面生物学の解明、筋膜を能動的に誘導する足場設計、筋膜温存・動員を最適化する手術プロトコールの確立が求められます。

研究情報

研究タイプ
基礎/機序研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - マウスを用いた前臨床の機序研究(機能的介入あり)
研究デザイン
OTHER