ATAC-seqとRNA-seqの統合解析によりADSCP2が肥厚性瘢痕線維芽細胞の酸化的リン酸化経路を制御することを解明
総合: 74.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 6
概要
ATAC-seqとRNA-seqの統合により、ADSCP2が肥厚性瘢痕線維芽細胞のクロマチンアクセス性と遺伝子発現を再構築し、OXPHOS関連遺伝子(COX6B1、NDUFA1)を抑制することが示された。ATPと乳酸の低下は、抗線維化作用の機序として代謝再プログラム化を示唆する。
主要発見
- ATAC-seqで7,805の差次的ピーク(3,176遺伝子関連)、RNA-seqで345遺伝子上昇・399遺伝子低下を同定した。
- KEGG解析はOXPHOS経路の関与を示し、COX6B1とNDUFA1が有意に低下、プロモーターの閉鎖化が増加した。
- 細胞内ATPと乳酸が低下し、細胞エネルギー代謝の変化が示唆された。
臨床的意義
ミトコンドリア経路を標的とするペプチド治療の開発を後押しし、バイオマーカーに基づく用量設定や患者選択に資する可能性がある。
なぜ重要か
ペプチドによる代謝標的機序の同定は、肥厚性瘢痕に対する新規治療戦略となり得て、幹細胞由来因子とミトコンドリア生体エネルギーを結びつける。
限界
- in vitro線維芽細胞モデルであり、in vivo瘢痕モデルでの検証がない
- サンプル数・反復の詳細が乏しく、機能的アウトカムが未提示
今後の方向性
肥厚性瘢痕動物モデルでの有効性・安全性評価、送達システムの開発、OXPHOS調節の上流・下流ネットワークの解明が必要である。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例集積
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 臨床アウトカムを伴わない前臨床in vitro機序研究
- 研究デザイン
- OTHER