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オーストラリア・クイーンズランド南東部の貯水池におけるレクリエーション活動由来の紫外線吸収剤と多環芳香族炭化水素の影響

Environmental toxicology and chemistry2025-02-15PubMed
総合: 68.5革新性: 6インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8

概要

3年間・14湖の調査で15種のPAHと6種の紫外線吸収剤を検出し、クリセン(97%)とオクチルサリシレート(34%)が最多であった。PAHは夏季のガソリン船許可湖で高く、UV吸収剤は遊泳許可湖で高値を示し、非許可湖での不法遊泳も示唆された。濃度は基準値未満だが、生物蓄積・混合毒性の観点から対策が求められる。

主要発見

  • 14湖で15種のPAHと6種の紫外線吸収剤を検出し、クリセン(97%)とオクチルサリシレート(34%)が最多であった。
  • PAH濃度はガソリン船を許可する湖で夏季に有意に高かった(p=0.005–0.05)。
  • 遊泳許可湖でUV吸収剤濃度が高く、非許可湖の上昇は不法遊泳を示唆した。
  • 個々の濃度は淡水ガイドライン未満だが、生物蓄積と混合毒性が懸念される。

臨床的意義

皮膚科および公衆衛生の指針として、環境残留性の低いUV吸収剤の推奨や、光防御を損なわずに環境負荷を減らす行動・政策(遊泳区域の適切な設定、ボート運用管理など)の促進に資する。

なぜ重要か

飲料水貯水池におけるPAHと日焼け止め由来UV吸収剤の季節的汚染パターンを各レクリエーション行動に結び付け、化粧品使用とレクリエーション管理に関する環境保健政策を支える知見を提供するため重要である。

限界

  • 観察研究のため因果推論に限界があり、湖の規模や水理など交絡の影響が残る
  • 生物個体の毒性評価や生物蓄積の直接測定を実施していない

今後の方向性

水生生物における生物蓄積と混合毒性の定量化、発生源寄与のモデル化、低残留性UV吸収剤やレクリエーション管理政策の効果検証を進める。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
予防
エビデンスレベル
III - 複数地点における前向き縦断的観察モニタリング
研究デザイン
OTHER