亜鉛クエン酸三水和物配合歯磨剤が歯垢微生物叢の生態と機能に及ぼす影響:無作為化二重盲検臨床試験
総合: 75.5革新性: 8インパクト: 6厳密性: 8引用可能性: 7
概要
6週間の二重盲検RCT(n=115)で、亜鉛クエン酸塩配合歯磨剤は歯垢微生物叢の組成を変化させ(例:Veillonellaの増加、Fusobacterium系統の低下)、推定機能として解糖を低下させ、歯周・全身健康に関連する経路(リジン生合成、硝酸還元)を増加させました。亜鉛含有歯磨剤が微生物叢の生態と機能を有益に変調するin vivo根拠です。
主要発見
- 対照と比べ、亜鉛配合歯磨剤は歯垢細菌叢を群集・種レベルで変化させた。
- 種レベルでVeillonellaの増加とFusobacterium系統の低下を認めた。
- 推定メタゲノミクス/メタトランスクリプトミクスで解糖低下、リジン生合成・硝酸還元の増加が示唆された。
臨床的意義
歯肉炎やう蝕リスクのある患者への亜鉛含有歯磨剤の推奨を後押しし、微生物叢指標と併せて長期の臨床転帰評価の必要性を示します。
なぜ重要か
消費者向け口腔ケア製品が、健康に整合する方向に微生物叢の組成と推定機能を有益に変化させ得ることを無作為化ヒトデータで示したためです。
限界
- 機能推定はショットガンメタゲノミクス/メタトランスクリプトミクスや直接のメタボロミクスではなく予測ベースであった。
- 6週間と短期間で、う蝕や歯肉炎発症などの臨床エンドポイントを評価していない。
今後の方向性
ショットガンオミクスやメタボロミクスを導入し、臨床エンドポイントを備えた長期試験へ拡張し、硝酸還元の全身(心代謝)への影響も評価すべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - ヒトでの無作為化二重盲検臨床試験。
- 研究デザイン
- OTHER