吸入された銀・金・酸化銅・酸化亜鉛ナノ粒子の生体動態:総説
総合: 73.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 9
概要
吸入研究を通じて、銀・金ナノ粒子は肺および二次臓器(肝・脾・脳/嗅球)に持続的に残留し、血中動態や臓器沈着は粒径に依存した。酸化銅は一過性の肺残留、酸化亜鉛は短期暴露時のみ肺負荷増加を示した。これらはナノ化粧品や職業曝露における全身曝露・臓器残留のリスク評価に直結する。
主要発見
- 銀・金はそれぞれ肺に>2000時間、>672時間残留した。
- 金の血中持続は粒径依存:4–13nmで≥672時間上昇、20–105nmでは上昇せず。
- 銀は肝・脾で最大2000時間増加し、銀・金ともに脳・嗅球で増加がみられた。
- 酸化銅は肺で一過性増加後約500時間で基線化、酸化亜鉛は短期暴露時のみ肺負荷増加。
- 全体として生体内分布は類似するが、銀・金は長期臓器残留が顕著であった。
臨床的意義
エアロゾル化化粧品や作業現場では、吸入性画分を最小化し、臓器残留を減らす粒径・コーティングを優先すべきである。粒径特異的なリスク周知と市販後安全監視の強化が望まれる。
なぜ重要か
広く用いられる4種ナノ粒子の生体動態を統合し、化粧品・パーソナルケア製品の曝露基準・表示・セーファーバイデザインの根拠を提供する。
限界
- 研究デザインや動物種が不均一で定量的統合が困難。
- ヒトデータが乏しく、コーティングや表面化学の違いが大きい。
今後の方向性
粒径・コーティング・用量指標を含む吸入曝露プロトコルと報告の標準化、およびヒト長期バイオモニタリングにより規制基準の策定を支援する。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- II - 観察研究の系統的統合によるエビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER