メインコンテンツへスキップ

自己免疫性肝炎の最適な一次治療は何か?ランダム化試験および比較コホート研究のシステマティックレビューとメタアナリシス

BMJ open gastroenterology2025-03-29PubMed
総合: 79.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 7

概要

本メタ解析は、自己免疫性肝炎においてプレドニゾロンが死亡/移植を減少させ、アザチオプリン併用でさらに改善することを示した。初期高用量ステロイドは有効性の優位性がなく有害事象を増加。ブデソニドはプレドニゾロンと同等の生化学的反応で整容面の有害事象が少なく、ミコフェノール酸モフェチルはアザチオプリン代替として重篤な有害事象が少ない。

主要発見

  • プレドニゾロン(±アザチオプリン)は未使用と比較して死亡/移植を減少(全体RR 0.38、95%CI 0.20–0.74)し、複数のサブグループで一貫していた。
  • プレドニゾロン+アザチオプリンはプレドニゾロン単独より死亡/移植を低下(RR 0.38、95%CI 0.22–0.65)。
  • 初期高用量プレドニゾロンは生化学的反応を改善せず(RR 1.07)、有害事象を増加(RR 1.73)。
  • ブデソニドはプレドニゾロンと同等の生化学的反応(RR 0.99)で整容面の有害事象が少ない(RR 0.46)。MMFはアザチオプリンに対し有効性同等で中止を要する有害事象が少ない(RR 0.20)。

臨床的意義

忍容性があれば一次治療はプレドニゾロン+アザチオプリンを標準とし、初期高用量ステロイドは有効性上の利益が乏しく有害事象増加のため避ける。整容面の副作用を抑えたい場合はブデソニド、アザチオプリン不耐の場合はミコフェノール酸モフェチルを検討する。

なぜ重要か

一次治療の薬剤選択と用量設定を直接導く高品質エビデンス統合であり、整容面の有害事象など患者に重要なアウトカムも考慮している点で臨床的意義が高い。

限界

  • 特に死亡関連アウトカムで一部コホート研究の不均質性と中等度〜高リスクのバイアスが存在。
  • 総合計サンプルサイズやサブグループの詳細が抄録では十分に示されていない。

今後の方向性

疾患重症度で層別化したブデソニド対プレドニゾロンの直接比較RCT、用量最適化試験、アザチオプリン対ミコフェノール酸モフェチルの実臨床試験(長期転帰と整容面を含む患者中心の有害事象評価)を推進する。

研究情報

研究タイプ
システマティックレビュー/メタアナリシス
研究領域
治療
エビデンスレベル
I - ランダム化試験と比較コホートを含むシステマティックレビュー/メタアナリシス。
研究デザイン
OTHER