術中疼痛管理が高齢患者の術後せん妄に与える影響:前向き単施設ランダム化比較試験
総合: 78.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 7
概要
BISで鎮静を揃えた高齢TKA患者において、NOX指標に基づく術中鎮痛は術後1日目のせん妄を低減(7% vs 16%)し、レミフェンタニル投与量は増加しました。侵害受容指標に基づく鎮痛最適化が、せん妄予防の介入標的となる可能性を示します。
主要発見
- NOX指標に基づく鎮痛で術後1日目のせん妄が低率(7% vs 16%;P=0.041)。
- NOX群ではレミフェンタニル投与量が多かった(平均927 vs 882 mg;P=0.002)。
- 両群ともBISで鎮静を標準化し、鎮痛管理の影響を抽出した。
臨床的意義
鎮静深度を一定に保ちながら、NOXなどの侵害受容モニタを用いて術中オピオイド投与を調整することで、高齢TKA患者の術後早期せん妄を減らせる可能性があります。
なぜ重要か
本ランダム化試験は、高齢者に多い術後せん妄を低減し得る実装可能な術中介入(侵害受容指標に基づく鎮痛)を示し、周術期ケアに直結する意義があります。
限界
- 単施設研究のため一般化可能性に制限
- せん妄低減は術後1日目で示され、長期の認知転帰は未報告
今後の方向性
複数術式でNOX指標の有効性を検証する多施設試験や、疼痛とせん妄リスクの最適なオピオイド滴定戦略の探索が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - ランダム化比較試験に基づく高水準のエビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER