肝切除におけるプロポフォールTIVAとセボフルラン吸入麻酔の無再発生存:ランダム化比較試験
総合: 79.5革新性: 7インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8
概要
HCC肝切除454例のランダム化試験では、プロポフォールTIVAはセボフルラン麻酔に比べ1年無再発生存や全生存を改善しなかった。開腹肝切除のサブグループではTIVA有利の所見がみられ、手術アプローチが麻酔効果の修飾因子である可能性が示唆された。
主要発見
- 1年無再発生存は同等:TIVA 79.1%、セボフルラン 77.7%、補正HR 1.04(95%CI 0.72–1.52)。
- 1年の肝内・肝外無再発生存および全生存に差はなし。
- 開腹肝切除のサブグループではTIVA有利(HR 0.49;95%CI 0.25–0.95)、腹腔鏡では差なし。
臨床的意義
HCC肝切除後の再発抑制目的でTIVAへ一律に切り替える根拠は全体として乏しい。開腹肝切除ではTIVAを検討しうるが、サブグループ所見であり慎重な解釈と検証が必要である。
なぜ重要か
麻酔法と癌再発の長年の論争に高品質のエビデンスを提供する十分な規模のRCTであり、臨床的に重要なエンドポイントを評価している。
限界
- 開腹手術でのサブグループ効果は探索的で検出力が限定的、第一種過誤の可能性。
- 主要評価が1年追跡に限られること、HCC肝切除に限定された一般化可能性。
今後の方向性
手術アプローチ(開腹 vs 腹腔鏡)で層別化した多施設RCTと、より長期の追跡によりサブグループのシグナルの検証と長期腫瘍学的転帰の評価が必要である。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- I - 最も高いレベルの臨床エビデンスを提供するランダム化比較試験。
- 研究デザイン
- OTHER