麻酔中および麻酔後におけるセボフルランによるヒトの巨視的脳脊髄液フロー障害
総合: 73.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 6引用可能性: 8
概要
健常成人16例で、2%セボフルランはfMRI上の基底槽CSF振幅を低下させ、大脳皮質の大域的結合と灰白質-CSF結合を破綻させ、覚醒45分後も障害が残存しました。セボフルランが大脳の協調的活動を撹乱し、巨視的CSFフローを障害することが示唆されます。
主要発見
- セボフルランは基底槽CSFのピーク・トラフ振幅を低下(中央値差1.00;P=0.013)。
- 麻酔中に大域的皮質結合と灰白質–CSF結合が破綻(P<0.001およびP=0.002)。
- 覚醒45分後も大域的結合と灰白質–CSF結合の障害が持続(P=0.022およびP=0.008)。
臨床的意義
直ちに実践を変更するものではありませんが、神経認知障害リスクの高い患者での麻酔薬選択・深度・タイミングの検討や、グリンパ機能を保護する周術期戦略の研究を後押しします。
なぜ重要か
一般的な吸入麻酔薬が巨視的CSFフローと脳全体の結合を障害することをヒトで初めて示し、術後神経認知障害の機序に新たな仮説を提示した点が重要です。
限界
- 健常者16例の小規模研究であり、fMRIに基づくCSF指標は間接的。
- セボフルランのみ、覚醒後観察は45分と短い。
今後の方向性
高齢者や認知機能低下例を含む手術患者での検証、吸入/静脈麻酔薬の比較、術後せん妄・認知低下や長期CSF動態との関連評価を行うべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- II - 前向きの生理学的研究(被験者内比較)
- 研究デザイン
- OTHER