手術中のポイントオブケア・ヘモグロビン測定の精度評価(PREMISE)と輸血実践への示唆:前向きコホート研究
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
2施設の前向きコホート(1139例、術中1735検体)で、臨床的に重要な60–100 g/L域においてPOCヘモグロビン機器はいずれも検査室値との±4 g/L以内の一致を達成しなかった。非心臓手術中の輸血判断にPOCヘモグロビンを依存することに警鐘を鳴らす結果である。
主要発見
- 2施設前向きコホートで1139例・術中1735検体を対象に3種のPOCヘモグロビン機器を評価した。
- 検査室ヘモグロビンとの比較で、いずれの機器も±4 g/L以内の一致限界を達成できなかった(検査室Hb<100 g/Lの680検体を含む)。
- 輸血判断の感度が高い60–100 g/L域における機器精度に疑義を突き付けた。
臨床的意義
輸血閾値付近の判断にPOCヘモグロビン単独を用いるべきではなく、検査室測定の確認や不確実性を組み込んだ意思決定を行う。院内の患者血液管理アルゴリズムと機器採用方針の再評価が推奨される。
なぜ重要か
輸血閾値近傍ではHbのわずかな差が意思決定に直結するため、精度不足の実証は術中輸血ワークフローや機器選択を直接的に見直す契機となる。
限界
- 機器測定に基づく輸血判断の変更が患者転帰に与える影響は評価していない。
- 採血部位や機器ごとの差異に関する詳細は抄録からは十分に把握できない。
今後の方向性
機器の不確実性を組み込んだ輸血アルゴリズムを用いる転帰志向試験の実施や、機器別較正・POCと検査室測定を併用するハイブリッド戦略の評価が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- II - 事前定義の一致基準を用いた前向き診断コホート研究
- 研究デザイン
- OTHER