一般外科手術におけるトラネキサム酸の安全性と有効性
総合: 75.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 7
概要
POISE-3の一般外科患者3,260例では、予防的TXAが出血複合アウトカムを有意に低減(HR0.74, 95%CI0.59-0.93)し、安全性複合アウトカムを増加させなかった(HR0.95, 95%CI0.78-1.16)。肝膵胆道や大腸手術を含むサブタイプでも効果は一貫していた。
主要発見
- TXAは重篤・主要・重要臓器出血の複合アウトカムを低減(HR0.74, 95%CI0.59-0.93)。
- TXAは心血管安全性複合(非心臓手術後心筋障害、非出血性脳卒中、動脈血栓、症候性近位DVT)を増加させなかった(HR0.95, 95%CI0.78-1.16)。
- 肝膵胆道(HR0.55, 95%CI0.34-0.91)や大腸(HR0.67, 95%CI0.45-0.98)手術などで効果が確認された。
臨床的意義
麻酔科医は、適格な一般外科患者において主要出血低減を目的にTXA予防投与を検討でき、血管イベント増加の懸念は小さい。肝膵胆道・大腸手術で特に有用である。
なぜ重要か
一般外科におけるTXA使用を支持し安全性を裏付ける質の高い無作為化エビデンスであり、周術期の止血管理プロトコル策定に直結する。
限界
- サブグループ解析であり二次解析の限界を有し、稀な有害事象の検出力は限定的
- 適用性はPOISE-3の適格基準(45歳以上・心血管リスクあり)に類似する患者に限られる
今後の方向性
一般外科各領域でのTXA投与量・タイミングの最適化、実臨床での有効性と稀な有害事象の評価を目的とした実装研究が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- II - 大規模多施設RCT内の質の高いサブグループ解析
- 研究デザイン
- OTHER