開胸術後の急性・慢性疼痛軽減のための周術期ケタミン:無作為化二重盲検プラセボ対照試験
総合: 79.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 7
概要
200例の二重盲検RCTで、術前ケタミン投与は院内オピオイド消費やPOD1~8のNRSには影響しないものの、慢性術後胸部痛(特に神経障害性所見)の発生率を低下させた。開胸術後の慢性疼痛予防におけるケタミンの有用性を支持する結果である。
主要発見
- 術後6時間の咳時疼痛はケタミン群で低下。
- POD1~8の安静時・咳時NRSおよびオピオイド消費量に差はなし。
- 30日のS-LANSS陽性率など、慢性術後痛(神経障害性所見)がケタミン群で有意に低率。
臨床的意義
急性期のオピオイド削減は期待しにくいが、慢性神経障害性疼痛の抑制目的で、開胸術の鎮痛パスに術前ケタミンの導入を検討できる。
なぜ重要か
頻度が高く転帰悪化と関連する慢性術後胸部痛の予防に対し、ケタミンの有効性を示した点で重要であり、胸部外科周術期鎮痛プロトコルの変更につながる可能性がある。
限界
- 要約中に投与レジメンの詳細が乏しく、汎用性の検証が必要。
- 追跡評価(S-LANSS)は電話調査であり報告バイアスの可能性。急性期疼痛指標の持続的改善は示されなかった。
今後の方向性
最適な用量・投与タイミングの確立、効果が大きいサブグループの同定、90日以降の長期転帰や他鎮痛法との併用効果の検討が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化二重盲検プラセボ対照試験(n=200、登録済み)。
- 研究デザイン
- OTHER