手術は高齢マウスのグリンパ系活動と認知機能を障害する
総合: 74.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
in vivo二光子イメージングにより、成獣では手術によるグリンパ系の変化は見られなかったが、高齢マウスでは24時間後にトレーサー流入の遅延が増悪し、T迷路の成績低下と相関した。高齢者の術後認知障害にグリンパ機能不全が関与する可能性を示す。
主要発見
- 成獣マウスでは、動脈周囲経路へのCSFトレーサー流入は速やかで手術と偽手術で差なし。
- 高齢マウスではトレーサー流入が遅延し、手術群で偽手術より一層障害が進行。
- 高齢マウスでの術後グリンパ障害はT迷路成績の低下と相関した。
臨床的意義
高齢者における脳老廃物クリアランス維持(睡眠、循環・換気、鎮静薬の最適化など)を周術期戦略として促し、PND予防介入でのグリンパ系標的化の根拠を与える。
なぜ重要か
手術が高齢脳のグリンパ機能障害を増悪させる機序的証拠を示し、術後せん妄・認知低下の経路としての妥当性を補強した。
限界
- 前臨床マウスモデルでありヒトへの外挿には注意が必要。
- 評価は術後24時間の単一点で、サンプルサイズの明示なし;麻酔・手術要因の寄与を完全には分離していない。
今後の方向性
高齢対象でグリンパ流を高める周術期介入の検証と、イメージング/髄液バイオマーカーの臨床せん妄研究への橋渡しを行う。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 前臨床の動物機序研究による病態生理学的示唆。
- 研究デザイン
- OTHER