心臓手術後の術後せん妄は周術期腸内細菌叢のディスバイオーシスと関連:ヒトおよび抗生物質処置マウスモデルからの証拠
総合: 77.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
OPCAB患者のマッチド解析で、術後せん妄は多様性低下、Enterococcus増加、SCFA産生菌減少を伴う周術期ディスバイオーシスと関連し、糞便SCFAは低下し重症度や炎症と逆相関しました。POD患者由来糞便移植は抗生物質処置マウスでせん妄様行動と神経炎症を誘発しました。
主要発見
- POD患者はα多様性の低下と、Enterococcusの増加およびBacteroidesやRuminococcusなどSCFA産生菌の減少を示しました。
- 糞便中SCFAはPODで有意に低下し、せん妄重症度および血漿炎症と逆相関しました。
- POD患者由来の糞便移植は抗生物質処置マウスでせん妄様行動と神経炎症を誘発し、微生物叢媒介の可搬性を示唆しました。
臨床的意義
心臓手術後のPOD低減に向け、SCFA産生菌の維持、栄養介入、抗菌薬適正使用など、腸内細菌叢に基づくリスク層別化と予防戦略の検討を後押しします。
なぜ重要か
腸–脳軸における腸内細菌叢変化とSCFAを術後せん妄に結び付け、マウスでの表現型移植性も示す機序的証拠を提供します。周術期神経保護に向けた修飾可能な標的を提示します。
限界
- 単施設・ヒトのサンプルサイズが比較的少数(マッチング60例)で一般化に限界があります。
- ヒト部分は観察研究であり、マウスは無菌ではなく抗生物質処置であるため、因果経路の精査が必要です。
今後の方向性
腸内細菌叢やSCFAを維持する介入の無作為化試験、微生物代謝物の機序解明、他の術式集団での検証が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- 症例対照研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - ヒトのネスト化症例対照研究にマウスFMTの翻訳研究を併用
- 研究デザイン
- OTHER