心臓手術後の術後心房細動予防における抗炎症薬の有効性:系統的レビューおよびネットワーク・メタアナリシス
総合: 79.5革新性: 7インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8
概要
85試験(n=18,981)の統合解析で、NSAIDsおよびスタチンは心臓手術後の新規POAFを有意に減少させ、死亡率や重篤な有害事象には影響しなかった。魚油+ビタミンC/E、コルヒチン、ステロイド、N-アセチルシステインも有効の可能性があるが、確実性は低い。
主要発見
- NSAIDsはPOAFを低減:RR 0.37(95% CI 0.23–0.59)、確実性は中等度。
- スタチンはPOAFを低減:RR 0.56(95% CI 0.45–0.70)、確実性は中等度。
- 魚油+ビタミンC/E(RR 0.30)、コルヒチン(RR 0.62)、ステロイド(RR 0.70)、N-アセチルシステイン(RR 0.69)もPOAF抑制の可能性(確実性は低い)。死亡率や重篤有害事象への影響は認めず。
臨床的意義
POAFリスクのある心臓手術患者では、出血・腎機能・肝機能リスクを勘案しつつ、周術期プロトコールにNSAIDsやスタチンの併用を検討する。適用は個別化し、循環器科・麻酔科チームと整合させることが望ましい。
なぜ重要か
POAF予防に実装可能な薬剤選択肢を示し、周術期プロトコールへ組み込みやすい。大規模エビデンスとGRADE評価によりガイドライン改訂の信頼性を高める。
限界
- 一部薬剤(魚油+ビタミン、コルヒチン、ステロイド、NAC)の確実性は低い
- 投与量・投与時期・対象選択の不均一性があり、死亡率改善は示されていない
今後の方向性
NSAIDsとスタチン戦略の直接比較を含む実践的RCT、安全性(出血・腎障害)の精査、ERAS経路への統合、バイオマーカーに基づくPOAF予防のリスク層別化の検証が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - ランダム化比較試験の統合解析(ネットワーク・メタアナリシス)とGRADE評価による最上位のエビデンス
- 研究デザイン
- OTHER