肝移植における常温機械灌流による転帰および資源利用の改善
総合: 73.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
連続1086例の肝移植で、常温機械灌流は静的冷保存に比べ転帰を大幅に改善し、特にDCD肝で顕著でした:EAD低減(17.5% vs 50.0%)、AKI減少、在院・ICU短縮、再入院大幅減、グラフト不全(全体HR 0.22、DCD HR 0.13)と死亡(HR 0.31)の低下。
主要発見
- EADはDCD-NMPで最少(17.5%)vs DCD-SCS(50.0%)、DBD-NMP(36.8%)、DBD-SCS(27.3%)(P<.001)
- DCD-NMPで在院・ICU日数が短縮(中央値:在院5.0日、ICU 1.5日;いずれもP=.01)
- 1年再入院が低減:DCD-NMPはDCD-SCS比で86%低下、DBD-NMPはDBD-SCS比で53%低下
- AKIはDCD-NMPで減少(31.1%)vs DCD-SCS(47.4%)(P=.001)
- グラフト不全はNMPで全体に低減(HR 0.22)、DCDで顕著(HR 0.13);死亡も低減(HR 0.31)
臨床的意義
特にDCD肝でNMPの優先導入を検討し、EAD・資源使用・グラフト不全を低減すべきです。導入には物流・コスト・トレーニングへの対応が必要です。
なぜ重要か
NMPが臨床転帰と資源利用を改善する実地データを提示し、移植麻酔・外科のプロトコル変更と普及を後押しするため重要です。
限界
- 単施設後ろ向き研究であり、選択バイアスや残余交絡の可能性
- 時代背景の変化がNMPとSCSの比較を交絡させ得る
今後の方向性
多施設前向き試験と費用対効果解析により有益性の検証、選択基準の最適化、標準ワークフローへの統合を進める必要があります。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- III - 後ろ向き観察コホート研究。交絡の影響を受けうるが、実地有効性の情報を提供。
- 研究デザイン
- OTHER