抗血栓薬・血栓溶解療法患者における区域麻酔:American Society of Regional Anesthesia and Pain Medicine エビデンスに基づくガイドライン(第5版)
総合: 81.0革新性: 6インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
本第5版は、抗血栓・血栓溶解療法中の患者に対する区域・神経軸麻酔の安全重視の推奨を提示する。主な更新点は、「低用量/高用量」表現の採用、保守的な休薬間隔、薬物特異的アッセイを用いたブロックやカテーテル管理のタイミング判断に関する指針である。
主要発見
- 臨床状況を反映するため、「予防的/治療的」から「低用量/高用量」への用語変更を採用。
- 稀だが破局的な神経軸出血の回避を最優先し、保守的な休薬間隔を維持。
- 抗Xa活性やDOAC濃度などの薬物特異的アッセイを、状況に応じて神経軸手技のタイミング判断に活用することを提案。
- 前版からの変更点を明示しつつ、構成を再編し簡潔化。
臨床的意義
低用量/高用量の区分と保守的な休薬間隔に基づき、可能な場合は薬物特異的アッセイを補助指標としてブロック実施やカテーテル管理を調整できる。DOAC、ヘパリン、抗血小板薬、線溶薬使用患者における区域・神経軸麻酔の安全性を高める。
なぜ重要か
本ガイドラインは世界の周術期意思決定に直結し、抗凝固患者の神経軸血腫リスク低減に寄与する。用量区分と検査活用の再構築により、複雑な抗血栓レジメン下での実践判断が明確になる。
限界
- 神経軸出血の発生率が極めて低く、質の高いランダム化エビデンスが得にくい。
- 保守的な休薬間隔により症例によっては治療遅延を生じ得るため、施設事情や検査体制に応じた調整が必要。
今後の方向性
前向きレジストリや薬力学研究により検査閾値の妥当性と新規薬剤の安全な休薬間隔を検証し、アッセイ活用型神経軸戦略の転帰評価を進める。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- III - 観察研究やランダム化試験のエビデンスを統合したガイドラインであり、一次の介入研究ではない。
- 研究デザイン
- OTHER