線条体D1ドーパミン受容体発現ニューロンはマウスのセボフルラン麻酔下では意識を調節するがプロポフォール麻酔下では調節しない
総合: 85.5革新性: 9インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8
概要
マウスでは、線条体D1受容体ニューロンがセボフルラン導入前に活動低下し、覚醒後に回復した。光遺伝学的活性化はセボフルラン麻酔中に覚醒と皮質活動を誘発し、化学遺伝学的抑制は導入を促進し覚醒を遅延させたが、これらはプロポフォールでは見られなかった。麻酔薬特異的な覚醒回路の調節を示唆する。
主要発見
- セボフルラン下で線条体D1受容体ニューロンの集団活動はLOC前に低下し、覚醒後に回復した。
- 光遺伝学的活性化は定常セボフルラン麻酔中の覚醒と皮質賦活を誘発し、化学遺伝学的抑制は導入を促進(242.0→194.0秒, P=0.010)し覚醒を遅延(93.5→133.5秒, P=0.005)させた。
- 化学遺伝学的活性化は覚醒を加速(107→81.3秒, P=0.011)させた。
- プロポフォール麻酔ではこれらの操作の効果は認められなかった。
臨床的意義
前臨床段階ながら、吸入麻酔からの覚醒促進のための標的的神経調節の可能性を示し、麻酔薬間で意識消失機序が異なることを示唆する。
なぜ重要か
本研究は、線条体D1ニューロンの役割が麻酔薬により異なることを示し、意識消失と回復の機序理解を大きく前進させた。
限界
- マウスモデルであり、臨床的外挿には限界がある。
- 抄録内にサンプルサイズや性別分布の詳細が記載されていない。
今後の方向性
基底核を標的とした非侵襲的神経調節がヒトで吸入麻酔からの覚醒を促進するかを検証し、吸入薬と静注薬で異なる下流回路をマッピングする。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎・機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - 因果操作を含む前臨床の機序的動物研究。
- 研究デザイン
- OTHER