メインコンテンツへスキップ

長期的認知機能低下のリスク因子としての麻酔:前向きMAASコホート研究の結果

European journal of anaesthesiology2025-02-18PubMed
総合: 75.5革新性: 7インパクト: 7厳密性: 8引用可能性: 8

概要

12年間の前向きコホート(n=1,823)で、全身麻酔への累積曝露時間が長いほど、実行機能(CST)、選択的注意・精神速度(Stroop)、情報処理速度(LDST)の経時的低下と独立して関連した。年齢と教育が主要因であり、高血圧、糖尿病、喫煙も各領域に不利に作用した。

主要発見

  • ベースラインの全身麻酔累積時間が長いほど、実行機能(CST、P<0.05)、選択的注意・精神速度(Stroop、P<0.001)、情報処理速度(LDST、P<0.005)の縦断的低下が大きかった。
  • 生涯の認知低下に最も影響したのは年齢と教育であり、高血圧・糖尿病・喫煙も不利な関連を示した。
  • 12年間にわたる3回の繰り返し評価を備えた前向きデザイン(1,823例)は、横断研究に比べ因果推論を強める。

臨床的意義

複数回手術が予想される患者では、長期的認知リスクを説明し共有意思決定に組み込む。可能な範囲で麻酔曝露を最小化し、高血圧・糖尿病・喫煙などの血管危険因子を最適化し、高リスク例では認知モニタリングを検討する。

なぜ重要か

長期・大規模コホートにより、累積麻酔曝露と領域特異的な認知低下の関連を人口学・健康因子を超えて定量化し、議論の的となってきた問題に厳密なエビデンスを提供した。

限界

  • 観察研究であり残余交絡の可能性がある。麻酔曝露はベースラインの総時間で評価され、薬剤・用量の詳細は不明。
  • 手術疾患や周術期因子の影響を完全に分離するのは困難。

今後の方向性

麻酔薬剤・深度・バーストサプレッションなどの詳細曝露指標や周術期合併症を統合し、ターゲットトライアル模倣で因果を精査。深度ガイド麻酔や神経保護プロトコールなど緩和策の介入研究を実施。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
予後
エビデンスレベル
II - 調整解析を伴う前向き縦断コホート研究。
研究デザイン
OTHER