ICU患者の緊急気管挿管に対するエスケタミンの有効性と安全性:二重盲検ランダム化比較試験
総合: 78.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 7
概要
ICUの緊急挿管80例の二重盲検RCTで、エスケタミンは導入期・挿管後のMAPを高く維持し、心拍数の増加は伴わず、昇圧薬使用量、人工呼吸期間、ICU在室日数を有意に短縮した。28日死亡率や重篤な有害事象の差は認められなかった。
主要発見
- エスケタミンは導入中および挿管1・5・10分後のMAPをミダゾラム/スフェンタニル群より高く維持。
- 人工呼吸期間(中央値105.3時間対211.5時間、P=0.002)とICU在室日数(中央値7.0日対15.0日、P=0.002)が短縮。
- ノルエピネフリン使用量が少なく、心拍数・28日死亡率に差はなく、重篤な有害事象は認めなかった。
臨床的意義
循環動態が不安定なICU患者の緊急挿管では、昇圧薬使用量や人工呼吸期間、ICU在室を減らす目的でエスケタミンを導入薬の選択肢として検討できる(ケタミン系の一般的副作用には留意)。
なぜ重要か
高リスクの緊急挿管で循環動態を安定させつつICU資源利用を改善する導入薬を示した。重症成人の迅速導入における薬剤選択に直ちに反映可能。
限界
- 単施設・サンプルサイズが比較的小さい(n=80)
- 28日死亡率に差がなく、ハードエンドポイントに対する検出力は限定的
今後の方向性
ショック・敗血症・TBIなどの表現型別に、エスケタミンとエトミデート/ケタミン/プロポフォールを比較する多施設大規模RCT(併用薬と筋弛緩薬を標準化)と、長期の神経学的転帰・死亡率の検証が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - ICU患者を対象とした二重盲検ランダム化比較試験
- 研究デザイン
- OTHER