多剤抗炎症薬併用戦略が高齢股関節骨折手術患者の術後せん妄に与える影響:パイロット無作為化比較試験
総合: 84.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
二施設二重盲検パイロットRCT(無作為化132例、解析123例)で、周術期抗炎症バンドル(デクスメデトミジン、グルココルチコイド、ウリナスタチン、NSAIDs)は術後せん妄を44%から15%へ低減(RR 0.33、P=0.001)し、重大な有害事象は認めませんでした。術後CRPの低下が効果の一部を媒介し、炎症の因果的関与を支持しました。
主要発見
- 抗炎症バンドルにより術後せん妄は44%(27/61)から15%(9/62)へ低減(RR 0.33[95% CI 0.17–0.64]、P=0.001)。
- いずれの群でも重大な有害事象は発生せず、バンドルの安全性が示された。
- 術後CRPが有意に低く、媒介分析により全身炎症が保護効果に関与することが示唆された。
臨床的意義
再現性が確認されれば、麻酔科医は高リスク高齢者の骨折手術で、デクスメデトミジン鎮静、周術期ステロイド、ウリナスタチン、NSAIDsを組み合わせた標準化バンドルを導入し、適切な症例選択とモニタリングの下でせん妄予防を図ることが可能です。
なぜ重要か
高齢手術患者の主要な有害アウトカムである術後せん妄を、実装可能な多標的抗炎症戦略で大幅に減少させた二重盲検パイロットRCTであり、臨床的意義が高いためです。
限界
- パイロット規模かつ二施設のため一般化可能性に限界がある
- バンドル介入のため各薬剤の寄与は分離できず、せん妄評価期間も短い(3日)
今後の方向性
多施設大規模RCTで有効性の再現、至適用量・投与タイミングの最適化、長期の認知・機能予後、費用対効果や広範な集団での安全性評価を行うべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - 無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験であり、最高水準の臨床エビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER