セボフルランとプロポフォールの血管透過性に対する異なる作用:in vitroおよびマウスモデルでの検討
総合: 84.5革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 9
概要
臨床濃度のセボフルランはin vitroで内皮透過性を、マウスで肺血管リークを増加させました。機序としてHIF-1α活性化とVEGF上昇が関与し、HIF-1αノックダウンで透過性の変化は消失しました。プロポフォールは影響しませんでした。
主要発見
- セボフルランはHUVECおよびマウス肺内皮細胞の単層を破綻させ、トランスウェル透過性を増加させた。
- マウスではセボフルランが肺におけるAngioSense色素集積を対照比1.8倍に増加させ肺血管リークを示した一方、プロポフォールは影響しなかった。
- セボフルランはHIF-1αを活性化しVEGFを上昇させ、HIF-1αノックダウンで透過性とVEGF変化は消失した。
臨床的意義
肺水腫・血管リークリスク(例:敗血症重症例、急性呼吸窮迫症候群リスク)ではプロポフォール主体のTIVAを検討し、セボフルラン使用時は慎重投与と酸素化・肺水分の厳密な監視が望まれます。
なぜ重要か
セボフルランがHIF-1α/VEGF経路を介して血管リークを増加させる明確な機序を示し、肺合併症リスク患者での麻酔薬選択に示唆を与えます。
限界
- 前臨床モデルであり、直接的な臨床アウトカムデータはない
- 肺血管系に焦点が当たり、他臓器やヒト周術期への一般化には検証が必要
今後の方向性
血管リークや肺合併症を主要評価項目として、高リスク外科患者で揮発性麻酔薬とTIVAを比較する橋渡し研究や、HIF-1α制御による保護戦略の検討が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理/治療
- エビデンスレベル
- V - 細胞および動物モデルによる前臨床の機序的エビデンス
- 研究デザイン
- OTHER