産科麻酔における人種・民族格差:システマティックレビューとメタアナリシス
総合: 73.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
大規模観察データのメタ解析により、分娩時の神経軸鎮痛の利用はアジア系・黒人で白人より低く、帝王切開での全身麻酔は黒人で多いことが示されました。産科麻酔のアクセスと実践における格差の持続が示唆されます。
主要発見
- 分娩時神経軸鎮痛の利用は、白人に比べアジア系(OR 0.80、95%CI 0.65–0.99)および黒人(OR 0.72、95%CI 0.61–0.85)で低い。
- 帝王切開での全身麻酔は、白人に比べ黒人で多い(OR 1.60、95%CI 1.15–2.22)。
- ランダム効果モデルで19研究を統合(神経軸鎮痛 n=13,398,421、全身麻酔 n=2,139,763)。
- 25研究中13でバイアスリスクが高~非常に高く、より厳密な分析の必要性が示された。
臨床的意義
分娩時神経軸鎮痛の標準化した説明、適時の施行、通訳支援、麻酔方式の人種・民族別監査とフィードバックなどのQIを実施し、構造的・暗黙のバイアスを教育とシステム再設計で是正します。
なぜ重要か
大規模データで麻酔に関する不公平を定量化し、母体罹患の低減と患者中心ケアのための品質改善・政策・教育の焦点を提示します。
限界
- 観察研究主体であり、多くの研究でバイアスリスクが高い
- 社会経済状況・併存症・施設要因などの残余交絡、人種・民族定義の異質性
今後の方向性
格差是正を目的とした前向きコホートや準実験的介入(標準化された神経軸鎮痛パスなど)を実施し、患者報告アウトカムや満足度との連結評価を行うべきです。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- II - 大規模集団における格差を定量化した観察研究のメタアナリシス
- 研究デザイン
- OTHER