癌手術後の合併症と喫煙:システマティックレビューとメタアナリシス
総合: 77.0革新性: 7インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 7
概要
24研究(n=39,499)の統合により、癌手術の術前4週間以内の喫煙は、少なくとも4週間の禁煙や非喫煙に比べ、術後合併症が増加しました。2週間以内と2週~3か月の比較では有意差はなく、術前1年以内の喫煙は1年以上の禁煙よりも合併症が多い傾向でした。
主要発見
- 術前4週間以内の喫煙は、少なくとも4週間の禁煙に比べ術後合併症を増加(OR 1.31、95%CI 1.10–1.55、n=14,547、17研究)。
- 現喫煙者は生涯非喫煙者に比べ術後合併症が大きく増加(OR 2.83、95%CI 2.06–3.88、n=9,726、14研究)。
- 術前2週間以内の喫煙と2週~3か月で禁煙の比較では有意差なし(OR 1.19、95%CI 0.89–1.59、n=5,341、10研究)。
- 術前1年以内の喫煙は、1年以上禁煙に比べ合併症が増加(OR 1.13、95%CI 1.00–1.29、N=31,238、13研究)。
臨床的意義
可能であれば術前少なくとも4週間の禁煙を目標に、早期から禁煙支援を導入します。不要な手術遅延を避けつつ禁煙を迅速に開始し、提示されたオッズ比を用いて患者と意思決定を共有します。
なぜ重要か
術前禁煙指導と癌手術の時期決定に直結する時間軸に基づくリスク推定を提示し、臨床判断を具体的に支援します。
限界
- 主として観察研究であり、残余交絡の可能性
- 癌種・手術・喫煙評価法の不均一性による異質性
今後の方向性
癌診療フローに組み込んだ実用的ランダム化または準実験的デザインにより、最適な手術遅延と実施のバランスを検証し、禁煙の生化学的検証を標準化する研究が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- II - 主として観察研究を対象としたシステマティックレビュー/メタアナリシスによる一貫した関連の提示
- 研究デザイン
- OTHER