周術期曝露がC57Bl/6成体マウスの腸内細菌叢と免疫チャレンジ後アウトカムに及ぼす影響
総合: 79.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 7引用可能性: 8
概要
絶食・揮発性麻酔・酸素投与・セファゾリン・ブプレノルフィンから成る周術期曝露モデルで、16S解析により多様性低下と健康関連共生菌の喪失、アミノ酸代謝経路の変化が認められた。曝露後3日の腸内細菌叢を二次的無菌マウスへ移植すると、エンドトキシン血症後の7日生存率が低下(約20%対約70%)した。手術と独立に一般的周術期因子がディスバイオーシスを起こし炎症応答を悪化させる機序的証拠である。
主要発見
- 12時間の絶食、4時間の吸入麻酔、7時間の酸素投与、セファゾリン、ブプレノルフィンから成る曝露で、生物多様性の低下とLactobacillus・Roseburia・Ruminococcusの喪失を伴う一過性ディスバイオーシスを惹起した。
- 腸内細菌叢が媒介するアミノ酸代謝経路の推定機能が曝露後に変化した。
- 曝露後3日の糞便細菌叢を移植すると、エンドトキシン血症後の7日生存率が低下(約20%対約70%、P=0.0002)した。
臨床的意義
周術期の抗菌薬・酸素・オピオイド使用および栄養管理の最適化によるディスバイオーシス最小化の必要性を示唆し、プロバイオティクス/プレバイオティクスのタイミングなど腸内細菌叢温存・回復戦略の臨床試験を促す。
なぜ重要か
日常的周術期因子の複合効果を腸内細菌叢に対して単離し、糞便移植で炎症下の生存悪化を因果的に示した初の研究の一つである。
限界
- 前臨床マウスモデルでありヒトへの一般化には検証が必要
- 16Sベースの推定で菌株レベルやメタボローム解像度に限界がある
今後の方向性
周術期ヒト研究において腸内細菌叢の推移を評価し、抗菌薬適正使用・酸素滴定・栄養戦略・プロ/プレバイオティクスなどの介入でディスバイオーシスと術後炎症性合併症を軽減する介入試験を行う。
研究情報
- 研究タイプ
- 基礎/機序研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- V - マウスでの機序的前臨床研究(糞便移植と生存アウトカム)
- 研究デザイン
- OTHER