孤立性大動脈弁置換におけるBuckberg対Del Nido:前向き二施設無作為化試験
総合: 78.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 7
概要
孤立性AVRの311例で、Del Nido心筋保護はBuckbergに比べ、遮断解除後の自発リズムが高く、心室細動に対する除細動が少なく、術中の高血糖とインスリン使用も少なかった。一方で術後CK・高感度トロポニンTのピークは同等であった。
主要発見
- 術後CKおよび高感度トロポニンTのピークは両群で差がなかった。
- 遮断解除後の自発リズムはDel Nidoで高く(66.7%対43.1%)、除細動を要する心室細動は少なかった(23.6%対49.7%)。
- Del Nidoでは術中ピーク血糖が低く(128対198 mg/dL)、インスリン投与も少なかった(18.1%対51.0%)。
- 心筋保護液総量はDel Nidoで多かった(1000 mL対374.5 mL)。
臨床的意義
孤立性AVRでは、Del Nido心筋保護の採用によりリズム安定性や血糖管理の改善、再投与中断の少ないワークフローが期待できる。長期転帰は同等であり、体外循環・麻酔プロトコールの更新を検討し得る。
なぜ重要か
成人弁手術の心筋保護選択に直結する無作為化試験であり、Del Nidoが心筋障害バイオマーカーを損なうことなく、術中管理の複数の有利点を示した。
限界
- 孤立性AVRに限定され、長期臨床転帰を検出する検出力は不足。
- 盲検化は困難で、ワークフロー関連アウトカムに実施バイアスの可能性。
今後の方向性
長期転帰(心機能、不整脈、資源利用)や他の成人心臓手術・高リスク集団への一般化を検証する必要がある。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 成人AVRにおける2種類の心筋保護戦略を比較したランダム化比較試験。
- 研究デザイン
- OTHER