全身麻酔に対する脊髄(神経軸)麻酔相対比較におけるてんかんリスク:後ろ向きコホート研究
総合: 73.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 9
概要
神経軸麻酔でも可能な手術を受けた17万超の成人で、重み付け解析により、全身麻酔は神経軸麻酔に比べ新規てんかんリスクが時間依存的に上昇し、追跡約3年以降で有意となった。
主要発見
- 重み付け後のてんかん発症率は全身麻酔48.8、神経軸麻酔35.5/10万人・年。
- 時間依存効果:時点0のHRは0.61だが、時間とともにリスク上昇(時間交互作用HR 1.36)し、約3年以降で全身麻酔のリスクが有意に高い。
- IPTWとFine–Grayモデルを用いた手法で交絡と競合リスクを補正。
臨床的意義
長期神経学的リスクを懸念する患者では、可能な場合に神経軸麻酔の選択を検討し、全身麻酔後の時間遅延性リスクの可能性と不確実性をインフォームドコンセントで共有する。
なぜ重要か
麻酔の長期神経学的影響という重要かつ議論の多い問題に対し、大規模で方法論的に堅牢なデータを提示し、今後のガイドラインや研究の見直しを促す可能性が高い。
限界
- 残余交絡や測定されない差(例:手術適応)が残存する可能性。
- 追跡期間中に生じる新たなてんかん危険因子を完全には制御できない。
今後の方向性
手術種別ごとの解析、周術期脳障害を捉える前向きレジストリ、麻酔薬の影響と手術・基礎疾患要因の分離に向けた機序研究が必要。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- II - 大規模後ろ向きコホート(交絡調整を強化)
- 研究デザイン
- OTHER