心臓手術後の術後せん妄予防におけるガストロジンの有効性と安全性:無作為化プラセボ対照臨床試験
総合: 84.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
CABG患者155例の二重盲検RCTで、ガストロジン点滴(術後6日目まで600 mg×2/日)は術後せん妄を35.9%から19.5%へ低減し、退院機会を有意に増加させた。薬剤関連の有害事象は認めず、POCDは両群で低頻度かつ同程度であった。
主要発見
- 術後せん妄はガストロジン群19.5%、プラセボ群35.9%で有意に低減(RR 0.54, 95% CI 0.32–0.93)。
- 有害事象の増加はなく、薬剤関連事象はなし(9.1%対14.1%)。
- ガストロジン群で退院機会が増加(サブハザード比1.20, 95% CI 1.00–1.84)。
臨床的意義
再現性の確認を前提に、CABG患者のせん妄予防補助療法としてガストロジン点滴の導入が検討可能。多面的予防バンドルの一要素として、適切なモニタリングとともに運用が期待される。
なぜ重要か
心臓手術後せん妄の予防において、薬物介入で有意な低減効果を示した質の高い二重盲検RCTであり、有効な予防策が乏しい領域に実臨床的インパクトを与える。
限界
- 単一国・単一レジメンであり、CABG(±弁置換)以外への一般化は不確実。
- 症例数は中等規模でPOCDイベントが少なく、認知機能評価の検出力が限定的。
今後の方向性
多施設・大規模RCTでの心臓・非心臓手術横断的検証、用量反応評価、(GABA作動性・抗炎症機序など)機序解明、費用対効果の評価が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - 無作為化二重盲検プラセボ対照試験
- 研究デザイン
- OTHER