吸入麻酔と目標制御/手動TIVAの安全性・回復プロファイル:無作為化比較試験のシステマティックレビューとメタ解析
総合: 82.5革新性: 7インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 8
概要
RCT385件の統合解析で,TIVAとIAの重篤な術中有害事象は同等であった。IAは回復短縮と費用低減に,TIVAはPONVおよび覚醒時興奮の抑制に優れていた。TIVAの投与様式(TCI/手動)による安全性差はみられず,TCI-TIVAは術後認知機能障害低減の可能性が示唆される一方で回復延長の所見があり,直接比較試験が必要である。
主要発見
- 重症度3–4のClassIntra有害事象はTIVAとIAで差なし(RR 1.00, 95%CI 0.88–1.12)。
- 回復時間と費用はIAが優位。
- PONVと覚醒時興奮はTIVAが優位。
- サブ解析:TCI-TIVAと手動TIVAで安全性差はなく,TCIは術後認知機能障害を減らす可能性がある一方で回復延長のシグナル。
臨床的意義
迅速な覚醒・低コストを重視する場合はIA,PONVリスクが高い患者や覚醒時興奮を避けたい場合はTIVAを選択。TCI特有の認知機能保護効果は直接比較試験の結果が得られるまで慎重に解釈する。
なぜ重要か
患者の価値(PONV回避か迅速回復か)と運用上の優先(コスト)に即した麻酔選択を支える決定的エビデンスを統合し,個別化麻酔計画に直結する。
限界
- 回復指標やコストの定義が試験間で不均一。
- TCI対手動TIVAで認知転帰を直接比較するRCTが不足。
今後の方向性
TCI対手動TIVAの直接比較RCTを十分な規模で実施し,標準化された回復指標,術後認知機能,回復時間,環境負荷を評価する。
研究情報
- 研究タイプ
- システマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化比較試験のシステマティックレビュー/メタアナリシス
- 研究デザイン
- OTHER