急性呼吸窮迫症候群における吸入鎮静:SESARランダム化臨床試験
総合: 79.5革新性: 6インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 8
概要
中等度~高度ARDS成人687例の多施設第3相RCTで、吸入セボフルラン鎮静はプロポフォールに比べ、28日時点の人工呼吸器離脱日数が少なく、90日生存率も低かった。7日死亡やICU離脱日数もセボフルランで不良であった。
主要発見
- 28日までの人工呼吸器離脱日数はセボフルラン群で少なかった(中央値差 -2.1日、95%CI -3.6〜-0.7)。
- 90日生存率はセボフルラン群47.1%、プロポフォール群55.7%で低下(HR 1.31、95%CI 1.05–1.62)。
- セボフルランは7日死亡を増加(19.4%対13.5%、RR 1.44)し、28日までのICU離脱日数を減少(中央値差 -2.5日)させた。
臨床的意義
深鎮静を要する中等度〜高度ARDSでは、吸入セボフルランより静脈内プロポフォールを優先すべきである。揮発性麻酔薬による鎮静を推奨するAR$DSプロトコルは再評価が必要であり、運用・環境上の利点よりも潜在的有害性を考慮すべきである。
なぜ重要か
本RCTは、ARDS患者において吸入セボフルランがプロポフォールに比べ不利益となり得る高品質エビデンスを提示し、ICU鎮静プロトコルに直結する。
限界
- オープンラベルであり、評価者盲検でも実施上のバイアスの可能性
- フランスICU以外や軽症ARDS、他の鎮静プロトコルへの一般化は不確実
今後の方向性
ARDSにおける揮発性鎮静の転帰不良の機序解明研究と、揮発性麻酔薬を最小化するプロトコールの実用的試験が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 多施設ランダム化臨床試験で患者に重要なアウトカムを評価
- 研究デザイン
- OTHER