アンセリンはメチルグリオキサール誘発性毛細血管漏出を抑制することで実験的敗血症の死亡率を低下させる
総合: 83.0革新性: 9インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 8
概要
臨床データ解析、動物モデル、機序解析を通じて、メチルグリオキサールがRAGE–MAPK経路を介して内皮バリア破綻と毛細血管漏出を惹起することを示した。アンセリンはメチルグリオキサールを捕捉し、結合体の保全により漏出を抑制し、in vivoで死亡率を低下させた。
主要発見
- メチルグリオキサールは敗血症発症後48時間以内の死亡および早期のカテコラミン・輸液需要増加と独立して関連した。
- カルボニルストレスはマウス敗血症モデルで内皮結合蛋白を破綻させ、毛細血管漏出を惹起した。
- RAGE–MAPKシグナルがメチルグリオキサールの有害作用を媒介した。
- アンセリンはAGE形成を抑制し、in vitroで結合体を保護、in vivoで漏出と死亡率を低下させた。
臨床的意義
ヒトでの検証が得られれば、アンセリンなどのメチルグリオキサール捕捉療法は、内皮バリアを安定化させることで敗血症性ショックの昇圧薬・輸液需要を減らし、生存率を改善し得る。
なぜ重要か
敗血症性毛細血管漏出の因果的で創薬可能な経路を特定し、アンセリンの前臨床有効性を示した点で重要であり、内皮バリア保護を志向する新たな治療戦略に弾みを付ける。
限界
- 前臨床段階の有効性であり、ヒトでの無作為化介入データは未提示。
- 二次解析に用いたヒトコホートの具体的な症例数・選択基準が抄録では明示されていない。
今後の方向性
内皮漏出バイオマーカーを伴う敗血症性ショックを対象に、アンセリン等の捕捉薬の有効性・用量を検証する早期臨床試験を実施する。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 病態生理
- エビデンスレベル
- III - 観察コホートの二次解析と機序のin vivo/in vitro実験を統合したトランスレーショナル研究。
- 研究デザイン
- OTHER