メインコンテンツへスキップ

ハロゲン化麻酔薬の医療起源排出による温室効果ガス影響:販売データに基づく推定

The Lancet. Planetary health2025-03-23PubMed
総合: 79.0革新性: 8インパクト: 9厳密性: 7引用可能性: 9

概要

91か国の販売データ(2014–2023年)に基づき、ハロゲン化麻酔薬のCO2換算影響が27%減少したと推定され、高所得国でのデスフルラン使用減少が主因でした。一方で一部の中所得国ではデスフルラン増加が示唆され、セボフルランへの置換が重要な削減手段と示されました。

主要発見

  • 2014–2023年にハロゲン化麻酔薬由来の温室効果ガス影響は27%減少した。
  • 高所得国でのデスフルラン使用減少が主な要因である。
  • 一部の中所得国ではデスフルラン使用の増加がみられ、重点的な対策が必要。
  • デスフルラン/イソフルランをセボフルランへ置換することで気候影響を大幅に低減可能。

臨床的意義

デスフルランのフォーミュラリ除外、可能な場面でのセボフルランやTIVAの選好、低流量麻酔の採用、中所得国における使用抑制に向けた教育・政策介入を後押しします。

なぜ重要か

麻酔用揮発性薬剤の気候影響を包括的・経時的に初めて地球規模で推定し、低環境負荷薬への切替に関する政策・調達・臨床実践の意思決定を直接支援します。

限界

  • 販売データは使用量の代替指標であり、実際の排出量を完全には反映しない可能性
  • 一部の国は非包含であり、換算係数の仮定に不確実性が残る

今後の方向性

販売・使用量を廃ガス実測値と連結し、全世界へのカバレッジ拡大、低流量手技やTIVAなど代替法の実排出への影響評価を行うべきです。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
予防
エビデンスレベル
III - 国際販売データを用いた観察的な生態学的/時系列解析
研究デザイン
OTHER