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非妊娠成人における静脈内および経鼻オキシトシンの血漿薬物動態

British journal of anaesthesia2025-03-23PubMed
総合: 84.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8

概要

LC/MSにより静注オキシトシンは頑健な2コンパートメントモデルに従う一方、経鼻投与は生体利用率が極めて低く(約0.7%)、個体間変動が大きいことが示されました。LC/MS値はELISAより高く、今後の投与設計に資する公開シミュレータが提供されました。

主要発見

  • 静注オキシトシンの薬物動態は2コンパートメントモデルで良好に記述(バイアス0%、中央値不正確さ18%)。
  • 経鼻オキシトシンは生体利用率が約0.7%と極めて低く、個体間変動が大きい(中央値不正確さ47%)。
  • 同時採血ではLC/MSがELISAより一貫して高い濃度を示した。
  • 将来の研究に向けて公開用投与シミュレータが作成された。

臨床的意義

経鼻オキシトシンは治療的な全身濃度に達しにくく、臨床試験や使用は投与経路の再検討や期待値調整が必要です。静注投与はより信頼性高くモデル化でき、シミュレータは将来の投与設計に活用できます。

なぜ重要か

本研究はLC/MSに基づく精確な薬物動態と公開シミュレータを提示し、経鼻オキシトシンの有効性に関する長年の不確実性を解消します。経鼻投与の前提を見直し、より信頼性の高い投与設計を促す可能性があります。

限界

  • 非妊娠健常成人での小規模サンプルのため一般化に限界
  • 経鼻投与の高い変動性と低吸収の機序は完全には解明されていない

今後の方向性

鼻粘膜吸収の機序的障壁の解明、代替送達法・投与戦略の検討、シミュレータを用いた標的集団でのPK–PD連関の検証が望まれます。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
II - 前向き介入型の薬物動態研究(事前登録あり、非ランダム化)
研究デザイン
OTHER