脊椎麻酔下の股関節・膝関節置換術における術後悪心・嘔吐リスク:従来の制吐薬単独対制吐薬+EmeTermブレスレットのランダム化試験
総合: 79.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 7
概要
脊椎麻酔下人工関節手術348例のレベルI RCTで、標準制吐薬に経皮的経穴刺激ブレスレットを併用するとPONVが半減(16.0%対31.2%)、重度PONVや救済制吐も減少し、術後6時間までに効果が顕在化、24時間の回復スコアも改善しました。
主要発見
- ブレスレット併用でPONVは31.2%から16.0%へ低下(p=0.001)。
- 重度PONVは8.1%から1.1%へ、救済制吐は13.9%から3.4%へ減少(それぞれp=0.002、p=0.001)。
- 24時間PONVの調整ハザード比は0.39(95%CI 0.24–0.63)で、術後0–3時間および3–6時間で有意差が出現。
- 完全奏効は併用群で高率(84.0%対68.8%;p=0.001)、24時間の回復スコアも向上。
臨床的意義
脊椎麻酔下の股・膝関節置換術でPONV中等度以上のリスク患者には、標準予防にブレスレット併用を検討し、PONVと救済制吐薬使用の抑制および早期回復の促進を図るべきです。
なぜ重要か
区域麻酔下の整形外科手術という高頻度領域で、非薬理学的補助療法がPONVを有意に低減することをレベルIで示し、実装可能性が高いからです。
限界
- 脊椎麻酔下の人工関節手術に限定され、他術式・他麻酔法への一般化は不明。
- 追跡は24時間に限定され、長期転帰は未評価;デバイスの盲検化が困難な可能性。
今後の方向性
全身麻酔や他手術、ERASプロトコルでの有効性検証、24時間以降の患者報告アウトカムや費用対効果の評価が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - 明確な評価項目を有する高品質ランダム化比較試験。
- 研究デザイン
- OTHER