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高齢マウスにおける海馬神経動態と術後せん妄様行動

Anesthesiology2025-03-28PubMed
総合: 74.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8

概要

高密度電気生理と二光子イメージングにより、高齢マウスでは術後9時間に海馬錐体細胞の過活動と介在ニューロン活動低下が出現し、せん妄様行動の発現と一致、24時間で正常化しました。IPA前投与は回路不均衡を緩和し、行動障害を軽減しました。

主要発見

  • 高齢マウスは成獣に比べ、麻酔・手術後に有意なせん妄様行動を呈した。
  • 術後9時間に海馬錐体細胞活動が亢進し、介在ニューロン活動が低下、24時間で回復し行動も改善。
  • IPA前投与は錐体細胞過活動を抑え、介在ニューロン機能を部分的に回復させ、せん妄様行動を軽減。

臨床的意義

高齢者のPOD予防に向けた神経調節・代謝介入の標的を示唆し、術後24時間のタイミングを意識したモニタリングと介入の重要性を裏付けます。

なぜ重要か

海馬回路動態と術後せん妄様行動を結び付ける電気生理学的証拠を示し、介入候補であるIPAの調節可能性を提示した点で意義が大きい。

限界

  • 動物モデルであり臨床への直接的外挿に限界がある;行動評価のサンプルが小規模(N=10)。
  • IPAは前投与での効果であり、侵襲後の治療効果は未検証。

今後の方向性

術後投与でのIPAや関連代謝介入の検証、回路バイオマーカーのヒトEEG/MEGへの翻訳、麻酔薬や炎症メディエーターとの相互作用評価が必要です。

研究情報

研究タイプ
症例対照研究
研究領域
病態生理
エビデンスレベル
V - 神経動態と行動を結び付けた前臨床機序研究(動物実験)。
研究デザイン
OTHER