心臓手術における凝固障害性出血に対するプロトロンビン複合体製剤と新鮮凍結血漿の比較:FARES-II 多施設ランダム化臨床試験
総合: 85.5革新性: 8インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 8
概要
解析対象において、PCCはFFPより止血有効性が高く(77.9% vs 60.4%、差17.6%)、同種血輸血量が少なく、重篤な有害事象および術後30日までのAKIが少ないことが示されました。
主要発見
- 止血有効性はPCC群で高値(77.9%)であり、FFP群(60.4%)より有意に優れていました(差17.6%、95%CI 8.7%-26.4%、P<.001)。
- 同種血輸血量はPCC群で少なく(平均6.6単位 vs 9.3単位、差2.7単位、95%CI 1.0-4.4、P=.002)。
- 重篤な有害事象はPCC群で低く(RR 0.76、95%CI 0.61-0.96、P=.02)、AKIも少ない結果でした(10.3% vs 18.8%、RR 0.55、95%CI 0.34-0.89、P=.02)。
- 試験はClinicalTrials.gov(NCT05523297)に登録され、カナダ・米国の12施設で実施されました。
臨床的意義
心臓手術における凝固障害性出血では、止血改善と輸血曝露・AKIリスク低減のためPCCを第一選択として検討し、周術期血液管理プロトコルの更新を推奨します。
なぜ重要か
本多施設実用的RCTは、凝固障害性出血に対するPCCの優越性を示し、心臓手術の輸血アルゴリズムに直結するエビデンスを提供します。
限界
- 無盲検デザインのため実施者・評価バイアスの可能性
- 24時間以降はFFPのみ使用可という運用が以後の輸血指標に影響し得る
今後の方向性
多様な心臓手術におけるPCC先行アルゴリズムの実装評価、費用対効果、より広範な集団での血栓塞栓安全性の検証が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 多施設ランダム化比較試験で患者関連アウトカムを評価した高品質研究
- 研究デザイン
- OTHER