重症外傷成人におけるノルモキセミア目標化と補助酸素非使用日数:段階的切替えクラスター無作為化臨床試験
総合: 82.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 9
概要
本多施設段階的切替えクラスターRCT(N=12,487)では、SpO2 90–96%の目標化によりノルモキセミア時間が増え、高酸素血症が減少し、低酸素血症は増えませんでした。主要転帰の酸素非使用日数は全体で改善せず、しかし室内気への離脱は早期化し、入室時に非挿管の患者では酸素非使用日数がわずかに増加しました。
主要発見
- ノルモキセミア時間は56.2%→71.6%に増加し、高酸素血症は42.4%→26.7%に減少、低酸素血症は両群1.1%で同等。
- 酸素非使用日数は全体で差なし(調整平均差0.32日[95%CI -0.37–1.00]、P=0.30)。
- 室内気への離脱は有意に早期化(AHR 1.23[95%CI 1.13–1.33])、安全性シグナルなし、90日死亡は同等。
- ICU入室時に非挿管の患者では酸素非使用日数がわずかに改善(AMD 0.75日[95%CI 0.00–1.50])。
臨床的意義
重症外傷成人ではSpO2 90–96%を目標に設定し、高酸素血症を減らし室内気への離脱を促進すべきです。低酸素血症を避けるモニタリングが重要で、酸素非使用日数の全体的な改善は期待しにくい一方でプロセス改善が見込めます。
なぜ重要か
ICUにおける酸素スチュワードシップを支える高品質エビデンスであり、ノルモキセミア目標化により高酸素血症を安全に減らせることを示しました。
限界
- 主要評価は全体で中立的;段階的切替えデザイン特有の交絡・経時変化の影響の可能性
- 介入は盲検化不能;米国のレベルI外傷センターでの実施で一般化可能性に制約の可能性
今後の方向性
より広範なICU集団でのノルモキセミア目標化バンドルの検証、患者中心アウトカムや費用対効果の評価、閉ループ酸素制御の統合が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 8施設での段階的切替えクラスターRCT(ITT解析)
- 研究デザイン
- OTHER