重症患者の院内血流感染に対する抗菌薬治療期間短縮:国際EUROBACT-2データベースからの因果推論モデル
総合: 75.5革新性: 7インパクト: 8厳密性: 8引用可能性: 7
概要
前向き国際ICUコホートの因果推論解析で、選択されたHA-BSIにおける7–10日の抗菌薬療法は、14–21日療法と比べ28日治療失敗を低下(OR0.64)させ、後続の感染合併症減少(OR0.58)が寄与しました。死亡率は同等で、延長適応がない場合の治療期間短縮を支持します。
主要発見
- 適格ICU患者550例で、短期療法(7–10日;n=213)は長期療法(14–21日;n=337)に比べ28日治療失敗を低下(OR0.64, 95%CI 0.44–0.93)。
- 効果は後続の感染合併症減少(OR0.58, 95%CI 0.37–0.91)による一方、死亡率は同等(OR0.92, p=0.70)。
- 長期療法は黄色ブドウ球菌や難治性病原体、併用療法の多用と関連。
臨床的意義
延長適応のないICUのHA-BSI(感染源・微生物の選択、臨床悪化のない症例)では、適格基準を厳密に確認した上で7–10日の抗菌薬投与を目標にでき、合併症の監視が重要です。
なぜ重要か
ICUのHA-BSIで短期療法が合併症と抗菌薬曝露を減らしつつ死亡率を増やさないことを示し、抗菌薬適正使用と診療指針に直結します。
限界
- IPTWを行っても残余交絡・選択バイアスの可能性を免れない観察研究デザイン。
- 感染源・病原体・施設慣行に異質性があり、未測定因子(例:感染源コントロールの質)の影響の可能性。
今後の方向性
感染源・病原体別の最適期間を検証するランダム化試験と、治療期間アルゴリズムを抗菌薬適正使用プログラムに組み込む実装研究が望まれます。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- II - 因果推論を用いた質の高い前向きコホート研究。
- 研究デザイン
- OTHER