選択的ロボット支援・腹腔鏡下肝切除における中心静脈圧低下:PRESSURE試験—ランダム化臨床試験
総合: 82.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 8
概要
低侵襲肝切除112例の二重盲検RCTでは、意図的なCVP低下は術中出血量を減少させず、むしろ術中の循環不安定性を増加させた。90日死亡率と全合併症率は両群で同等であった。
主要発見
- 術中総出血量はCVP低下の有無で同等:280 mL(120–560)対 360 mL(150–640);P=0.30。
- 切離中のCVPは非低下群で高値(9.3±4.2 vs 3.2±2.2 mmHg;P<0.001)だったが、実質切離時の出血量は同等(220 vs 240 mL;P=0.39)。
- 術中循環不安定性は非低下群で少ない(12% vs 30%;P=0.03)。90日死亡率(5% vs 4%;P=0.68)と合併症(18% vs 20%;P=0.77)は同等。
臨床的意義
MILRではCVP低下を常用せず、過度な輸液制限や静脈拡張よりも循環安定性を優先する。標準的麻酔管理を維持し、他の止血対策を併用する。
なぜ重要か
MILRで慣行となっているCVP低下の有用性に異議を唱え、止血効果がなく不安定性が増すことを示したため、麻酔科の輸液・循環管理戦略に直結する。
限界
- 解析112例の単一RCTであり、稀なアウトカムには検出力が限られる可能性
- 選択的低侵襲肝切除に限定され、開腹や高リスク症例への一般化は不確実
今後の方向性
多施設試験での再現性確認、肝硬変・広範切除などのサブグループ検討、循環安定性を保つ代替的止血戦略の検証。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 無作為化二重盲検比較試験による高水準のエビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER