慢性腎臓病を有する心臓手術患者で周術期一酸化窒素コンディショニングが急性腎障害を減少させる(DEFENDER試験):ランダム化比較試験
総合: 82.5革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 7
概要
CKD合併の体外循環下心臓手術136例で、周術期NO吸入(80ppm、術中~術後6時間)はAKI発生率を低下(23.5% vs 39.7%、RR 0.59)し、6カ月後のGFRを改善、術後肺炎も減少し、安全性も良好であった。
主要発見
- AKI発生率は対照39.7%からNO群23.5%へ低下(RR 0.59、95%CI 0.35–0.99、P=0.043)。
- 6カ月後のGFRはNO群で高値(中央値50 vs 45 ml·min−1·1.73 m−2、P=0.038)。
- 術後肺炎はNO群で減少(14.7% vs 29.4%、RR 0.5、P=0.039)。メトヘモグロビン、NO2、出血や輸血量の増加は認めず安全性は良好。
臨床的意義
CKD患者の体外循環時には、周術期NO(80ppm)投与をAKIリスク低減と腎機能保持のために検討できる。メトヘモグロビンやNO2の監視と、供給設備・多職種連携プロトコール整備が必要である。
なぜ重要か
高リスク手術集団における薬理学的腎保護戦略を実証し、早期(AKI)および長期(GFR)の有益性を示した実践的RCTである。
限界
- サンプルサイズが比較的小さく、主要評価の信頼区間が1に近い
- 単施設または限定的施設・CKD/体外循環集団に特化しており、一般化に制約がある
今後の方向性
多施設大規模試験による再現性確認、至適用量・投与期間の確立、反応性サブグループの同定、費用対効果と導入可能性の評価が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - 患者志向アウトカム(AKI、GFR)を用いたランダム化比較試験
- 研究デザイン
- OTHER