術前血漿p‑tau231、p‑tau181、p‑tau217は術後せん妄と関連する:前向き研究
総合: 74.5革新性: 8インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 8
概要
腹腔鏡手術を受ける高齢者172例の前向き研究で、術前血漿p‑tau181、p‑tau217、p‑tau231、T‑tau高値はいずれも術後せん妄と独立に関連しました。中でもp‑tau231の判別能が最良(AUC 0.966、感度0.90、特異度0.967)で、せん妄重症度とも関連しました。
主要発見
- 術後せん妄の発生率は12%(20/172)でした。
- 年齢・ASA・教育で調整後、p‑tau181(OR 1.05)、p‑tau217(OR 1.02)、p‑tau231(OR 1.09)、T‑tau(OR 1.01)が独立してせん妄と関連しました。
- p‑tau231のAUCは0.966で、感度0.900、特異度0.967と最も高く、他のタウ指標を上回りました。
臨床的意義
高齢手術患者のリスク層別化に術前p‑tau231測定を組み込み、せん妄予防バンドル(多面的鎮痛、睡眠促進、抗コリン薬回避など)の適用や麻酔計画の最適化に活用できます。
なぜ重要か
本研究は術前採血で測定可能なp‑tau231を術後せん妄の高精度予測指標として提示し、合併症予防と個別化麻酔管理への道筋を示します。
限界
- 単施設・中規模サンプルであり、一般化可能性に制限があります。
- 対象が腹腔鏡手術を受ける高齢者に限定されており、外部検証とキャリブレーションが必要です。
今後の方向性
多施設検証と閾値の事前設定、包括的リスクモデルへの統合、バイオマーカー主導の予防介入を検証する試験が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 診断
- エビデンスレベル
- II - 前向き観察コホートで、調整解析により強い関連を示した研究。
- 研究デザイン
- OTHER