第一トリメスター外科的人工妊娠中絶におけるプロポフォール併用時のエスケタミン対スフェンタニルの比較:無作為化二重盲検臨床試験
総合: 78.0革新性: 7インパクト: 7厳密性: 9引用可能性: 7
概要
第一トリメスター人工妊娠中絶197例で、プロポフォール併用下のエスケタミンはスフェンタニルより循環動態(SBP/DBP/MBP、HR)を安定化させ、無呼吸・低酸素血症を減少させ、呼吸機能を維持した。一方で、めまいとPONVは増加した。外来婦人科麻酔における呼吸抑制回避の選択肢として有望で、十分な制吐対策が求められる。
主要発見
- エスケタミンはスフェンタニルに比べ、術中のSBP・DBP・MBP・HRの変動を有意に抑制した(p≤0.014)。
- 無呼吸および低酸素血症はエスケタミン群で減少した。
- 呼吸数は同等だが、PetCO2指標はエスケタミンで有利で換気安定性が示唆された。
- エスケタミンではめまいと術後悪心・嘔吐(PONV)の発生が増加した。
臨床的意義
第一トリメスター中絶の鎮静では、無呼吸・低酸素血症や循環変動の抑制目的で短時間作用オピオイドよりエスケタミンを検討し、制吐薬の多剤併用とめまいへの注意を組み合わせる。
なぜ重要か
日常的な日帰り処置における薬剤選択を、循環・呼吸の安全性とPONVリスクのバランスという観点から直ちに示唆する無作為化二重盲検試験である。
限界
- 単一の処置(人工妊娠中絶)に限定され、他の外科的日帰り手術への一般化に限界。
- PONVとめまいの増加は、十分な制吐対策がなければ利益を相殺し得る。
今後の方向性
エスケタミン併用に制吐多剤併用を組み合わせたレジメンの比較、回復プロファイルと患者満足度の評価、適応拡大への多施設研究が望まれる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- II - 単独の無作為化比較試験で実臨床に示唆を与える
- 研究デザイン
- OTHER