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経腹横筋膜面ブロックにおけるリポソームブピバカイン、通常ブピバカイン、食塩水の比較:CLEVELAND無作為化試験

Anesthesiology2025-12-02PubMed
総合: 81.0革新性: 7インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8

概要

本無作為化二重盲検試験(n=261)では、主要腹部手術における単回4象限TAPブロックで、リポソームブピバカイン、通常ブピバカイン、生理食塩水のいずれを用いても、24・48・72時間のオピオイド使用量と疼痛スコアに差は認められませんでした。本条件下では鎮痛効果の上乗せは示されませんでした。

主要発見

  • 24時間のオピオイド使用量は3群で同等(リポソーム26[18,48]MME、通常33[13,75]MME、生食31[17,53]MME)でした。
  • 幾何平均比では、リポソーム(0.86;97.7%CI 0.60–1.24)も通常ブピバカイン(0.91;97.7%CI 0.63–1.32)も生食に対する減少を示しませんでした。
  • 24–48時間、48–72時間のオピオイド使用量、疼痛スコア、感覚回復時間などの二次評価項目も群間差は認められませんでした。

臨床的意義

多様な主要腹部手術集団における切開前単回TAPブロックの慣習的施行を避け、高価なリポソームブピバカインの使用再考を促します。全身多角的鎮痛を基軸に、必要に応じて持続カテーテルなど代替の区域麻酔法を検討すべきです。

なぜ重要か

十分な検出力を有する陰性RCTであり、切開前単回TAPブロックの慣習的使用およびリポソームブピバカインの優位性に疑義を呈し、ERASと費用対効果の観点で大きな影響を及ぼします。

限界

  • 手術種の不均質性により特定サブグループの効果が希釈された可能性
  • 切開前の単回投与戦略であり、持続カテーテルや術後投与には外挿困難

今後の方向性

患者選択、投与タイミング(術後 vs 切開前)、持続カテーテル法の検証、デイインプリメンテーションと資源配分に資する費用対効果分析が必要です。

研究情報

研究タイプ
ランダム化比較試験
研究領域
治療
エビデンスレベル
I - 無作為化盲検化比較試験であり、十分なサンプルサイズを有する
研究デザイン
OTHER