術中の駆動圧ガイド高PEEP対標準低PEEP:術後肺合併症に対するランダム化比較試験
総合: 84.0革新性: 7インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
開腹手術のハイリスク成人では、駆動圧ガイド高PEEP+リクルートメントは、標準低PEEPと比べて術後肺合併症を減少させませんでした。高PEEP群では術中低血圧と昇圧薬使用が増加し、低PEEP群では一過性の酸素化低下がやや多くみられました。いずれも低一回換気量換気が用いられています。
主要発見
- 主要評価項目(肺合併症複合):高PEEP 19.8% vs 低PEEP 17.4%、差 2.5%(95%CI −1.5~6.4%)、P=0.23
- 高PEEP群で術中低血圧と昇圧薬使用が増加、低PEEP群でSpO2低下イベントが多い
- 全例で低一回換気量換気を施行、欧州5か国29施設、完了例n=1435
臨床的意義
開腹手術における術後肺合併症予防目的での高PEEP+リクルートメントの常用は避け、低一回換気量を基本とし、血行動態許容性を重視すべきです。PEEPの個別最適化は選択的な生理学的適応に限ることが推奨されます。
なぜ重要か
論争の的であった術中高PEEP+リクルートメントのルーチン使用に対し、予防効果がないことを示す高品質のエビデンスを提示し、換気戦略の見直しに資する重要な試験です。
限界
- 複合主要評価により個々のイベントに対する効果が希薄化する可能性
- 術中戦略への完全な盲検化が困難、開腹手術への一般化が中心
今後の方向性
高PEEPやリクルートメントの恩恵を受けうる生理学的サブグループの同定、至適駆動圧目標の精緻化、血行動態最適化を組み込んだ換気プロトコルの検証が求められます。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - 多施設ランダム化臨床試験で事前規定の評価項目を有する
- 研究デザイン
- OTHER