メインコンテンツへスキップ

重症頭部外傷患者における院内死亡、生命維持治療中止の決定、および早期二次性脳侵襲(2009–2024年,英国・ウェールズ・北アイルランド):観察コホート研究

The Lancet regional health. Europe2025-12-04PubMed
総合: 83.0革新性: 8インパクト: 9厳密性: 8引用可能性: 9

概要

235施設・15年のTBI 45,684例では院内死亡が25.6%から35.0%へ、WLSTが7.5%から19.7%へ上昇し、比較群では同様の傾向はなかった。特に低酸素などの早期二次性脳侵襲への曝露が増加した。WLSTの意思決定プロセス、脳保護ケアの質、システム要因の再検討が求められる。

主要発見

  • ICU入室TBIの院内死亡率は2009–2024年で25.6%から35.0%へ上昇した。
  • WLSTの実施は7.5%から19.7%へ増加し、調整後も独立した傾向であった。
  • 外傷全体・敗血症・脳血管疾患の比較群では同様の増加は認めなかった。
  • 低酸素曝露は36.9%から61.2%へ増加し、低血圧・低/高二酸化炭素血症・高血糖の頻度も高かった。

臨床的意義

低酸素など二次性脳侵襲を防ぐ神経保護バンドルと連続モニタリングを徹底する。予後評価の標準化とバイアス低減を備えた多職種・透明性の高いWLST枠組みを整備する。

なぜ重要か

TBIに特有の憂慮すべき長期トレンドを大規模多施設データで示し、早期二次性侵襲とWLSTの関連を明らかにした。神経集中治療の質と倫理に直結する。

限界

  • 観察研究のためWLSTと死亡の因果推論は限定的
  • 症例構成・診療様式・記録の経年的変化による影響の可能性

今後の方向性

予後予測の精度、意思決定プロセス、修正可能なケア経路を解明する前向き研究と、低酸素や生理異常を標的とした質改善を推進する。

研究情報

研究タイプ
コホート研究
研究領域
予後
エビデンスレベル
II - 多施設大規模の観察コホート(調整解析あり)
研究デザイン
OTHER