スガマデクス導入後の術中ロクロニウム投与量の変化と術後呼吸合併症との関連:後ろ向きコホート研究
総合: 74.5革新性: 7インパクト: 9厳密性: 7引用可能性: 8
概要
スガマデクス導入後、ロクロニウム累積投与量は0.83から1.20 mg/kgへ増加(約45%)。呼吸合併症は用量依存的に増えたが、スガマデクスで減弱し、定量的神経筋モニタリングの併用で消失した(定性的モニタでは消失せず)。
主要発見
- 2016年以降、年0.05 mg/kgの割合で投与量が増加(0.83→1.20 mg/kg)。
- 術後呼吸合併症は8.4%、ロクロニウム1 mg/kg増ごとにリスク上昇。
- スガマデクス・筋弛緩モニタなしで関連が最大(調整OR 1.99)。
- スガマデクスで減弱(調整OR 1.08)、定量的モニタでは関連が消失(調整OR 0.94)。
臨床的意義
スガマデクスにより増加したロクロニウム使用下では特に、残存筋弛緩による呼吸合併症を防ぐため定量的神経筋モニタリングを標準化する。
なぜ重要か
スガマデクス導入後の深い遮断の拡大という現実的な影響を可視化し、安全確保には定量的モニタリングが必須であることを示した。
限界
- 単施設・後ろ向きで残余交絡や施設特有の診療様式バイアスの可能性
- 因果関係の証明はできず、アウトカムは早期呼吸合併症に限定
今後の方向性
定量的指標に基づく投与戦略を検証する多施設前向き研究と、定量的モニタ普及・筋弛緩薬スチュワードシップの実装科学研究。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- III - 割り込み時系列と調整解析を伴う大規模後ろ向きコホート
- 研究デザイン
- OTHER