がん手術中の麻酔法:GA-CARES 無作為化多施設試験の結果
総合: 84.0革新性: 7インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
高リスクがん切除1,763例の多施設無作為化試験で、プロポフォール維持は揮発性麻酔薬に比べ総死亡を改善しませんでした。PP解析では2年時点でプロポフォール群の死亡が高く、無病生存にも有意な差はありませんでした。
主要発見
- ITT解析:プロポフォールは揮発性麻酔薬に比べ生存優越性を示さず(HR 1.16、95% CI 0.96–1.41、P=0.115)。
- PP解析:プロポフォール群で2年死亡が高い(25.5% vs 20%;HR 1.31、95% CI 1.05–1.64、P=0.017)。
- 無病生存への利益は認めず(HR 1.10、95% CI 0.9–1.36、P=0.428)。
- プロトコール順守率は95.9%と高水準。
臨床的意義
腫瘍学的転帰の観点から、揮発性吸入麻酔は安全な選択肢であり、生存利益を期待してプロポフォールへ常用的に切り替える根拠はありません。周術期がん診療全体の最適化に注力すべきです。
なぜ重要か
本試験は腫瘍麻酔領域の長年の論争に決着を付け、プロポフォールの優位性を示唆した後ろ向き研究に反証する決定的な無作為化試験です。
限界
- 部分的盲検化により周術期管理への影響バイアスの可能性。
- がん種間の不均一性があり、個々の腫瘍別効果を検出する十分な検出力はない。
今後の方向性
特定腫瘍における麻酔薬の免疫学的機序の解明と、標準化された腫瘍外科ERAS経路内での麻酔管理最適化による長期転帰改善の検証が必要です。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 治療効果に関する最も高いエビデンスを提供する無作為化比較試験。
- 研究デザイン
- OTHER