重症成人の気管挿管におけるケタミン対エトミデートの比較
総合: 84.0革新性: 7インパクト: 9厳密性: 9引用可能性: 9
概要
2365例の多施設RCTで、迅速導入においてケタミンはエトミデートに比べ28日院内死亡を減少させず、挿管時の循環虚脱はケタミン群で多かった。他の安全性評価は同等であった。
主要発見
- 28日院内死亡はケタミン28.1%、エトミデート29.1%(施設調整後のリスク差-0.8%、95%CI -4.5~2.9、P=0.65)。
- 挿管時の循環虚脱はケタミン22.1%とエトミデート17.0%でケタミンが高率(リスク差5.1%、95%CI 1.9~8.3)。
- 循環虚脱以外の事前規定の安全性アウトカムは概ね同等であった。
臨床的意義
重症患者の迅速導入ではエトミデートは妥当な選択であり、ケタミンに死亡低減効果は期待できない。挿管時の循環虚脱リスク増加に留意し、厳密な循環動態監視が必要である。
なぜ重要か
重症患者の導入薬を巡る長年の論争に決着を与えるRCTであり、気道管理ガイドラインに影響を与える可能性が高い。
限界
- 導入薬の盲検化は事実上不可能であり、実施上のバイアスの可能性。
- 救急・ICU間での実臨床の不均一性が、無作為化にもかかわらず結果に影響した可能性。
今後の方向性
ショック表現型や昇圧薬使用によるサブグループ解析、RSI時の循環管理プロトコルを組み込んだ実践的試験により、導入薬選択の最適化が期待される。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 治療
- エビデンスレベル
- I - 高品質なランダム化比較試験で、直接的な比較有効性エビデンスを提供。
- 研究デザイン
- OTHER