睡眠障害を有する高齢者の大手術における術前経鼻デクスメデトミジンの術後せん妄予防効果:無作為化三重盲検プラセボ対照試験
総合: 84.0革新性: 8インパクト: 8厳密性: 9引用可能性: 8
概要
睡眠障害を有する高齢者348例の三重盲検RCTで、術前夜の経鼻デクスメデトミジンはプラセボに比べ術後せん妄を減少させ、術前睡眠を改善した。一方、徐脈が増加し、周術期モニタリングが必要である。
主要発見
- 術前経鼻デクスメデトミジンはプラセボに比べ術後せん妄発生率を低下(18.4% vs 32.8%;相対リスク0.56[95% CI 0.38–0.82])。
- デクスメデトミジン群で術前の睡眠の質が改善した。
- デクスメデトミジン群で徐脈が増加し、安全性上の留意点となった。
臨床的意義
術後せん妄リスクの高い睡眠障害合併高齢者では、予防バンドルの一環として術前夜の経鼻デクスメデトミジンを検討できる。徐脈の監視と禁忌の確認を徹底する。
なぜ重要か
本試験は、術前夜の睡眠質を標的とする非侵襲的介入で、合併症と医療費の主要因である術後せん妄を減少させる実践的戦略を示した。
限界
- 徐脈という有害事象のシグナルにより厳密な監視が必要で、一般化可能性を制限する可能性がある。
- 対象は睡眠障害を有する高齢者に限定され、より広い外科集団への適用性は不明。
今後の方向性
多様な手術・リスク集団での再現性検証、至適用量・投与時期の同定、睡眠衛生・非薬物介入など多角的せん妄予防策との統合が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- ランダム化比較試験
- 研究領域
- 予防
- エビデンスレベル
- I - 無作為化三重盲検プラセボ対照試験であり、介入効果に関する最高水準のエビデンス。
- 研究デザイン
- OTHER