体外膜型人工肺(ECMO)症例の病院レベル症例数と6か月時点の死亡または障害
Critical care and resuscitation : journal of the Australasian Academy of Critical Care Medicine•2025-01-09•PubMed
総合: 67.0革新性: 6インパクト: 7厳密性: 7引用可能性: 7
概要
二国間レジストリコホート(n=1,232)において、ECMOセンターの症例数(>30対≤30例/年)は、多変量調整後もVV・VA・ECPRのいずれでも6か月時点の死亡/新規障害と関連しなかった。病院間搬送を除外した感度分析でも同様であり、地域の協調的ケアや教育体制の寄与が示唆された。
主要発見
- VV-ECMOでは高症例数と低症例数のセンター間で6か月死亡/新規障害に差はなかった(OR 1.09、95%CI 0.65–1.83、p=0.744)。
- VA-ECMO(OR 1.10、95%CI 0.66–1.84、p=0.708)およびECPR(OR 1.38、95%CI 0.37–5.08、p=0.629)でも差はなかった。
- 転院症例を除外するなどの感度分析でも結果は一貫していた。総例数1,232例(高症例数663、低症例数569)。
臨床的意義
ECMO体制の設計や指標管理では、症例数の閾値よりも、標準化プロトコル、病院間搬送、教育を含む協調的ネットワークを重視すべきである。
なぜ重要か
高症例数が必ずしも優れたアウトカムをもたらすという前提に疑義を呈し、長期かつ患者中心の指標で評価した点が重要である。地域集約化、搬送方針、教育体制の設計に示唆を与える。
限界
- 観察研究のため、残余交絡の可能性を否定できない。
- 協調的ネットワークが整備された地域(豪州・NZ)への一般化に限界がある。
今後の方向性
協調的ネットワークのどの要素(標準化プロトコル、シミュレーショントレーニング、搬送タイミング等)がアウトカム同等性に寄与するかを検証する前向き多施設研究や、患者報告アウトカム・費用対効果の評価が求められる。
研究情報
- 研究タイプ
- コホート研究
- 研究領域
- 予後
- エビデンスレベル
- III - 多施設観察コホート研究(交絡調整あり)
- 研究デザイン
- OTHER